浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

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慶賀新春

No.687

あけましておめでとうございます。
皆さまにおかれましては、お念仏と共に新年をお迎えのこととお慶び申しあげます。

昨年の元旦、能登半島で大きな地震があり、今なお復興が進まず大変な状況が続いていると聞いております。
日本は災害大国であり、地震、台風、水害など、年間を通して様々な災害が起こります。
いつ起こってもおかしくない状況が続いているにもかかわらず、私たちは今ある日常をあたりまえに生きています。

心のどこかで「自分は大丈夫」だとか、根拠のない思いがあるのではないでしょうか。
誰にでも当てはまることかも知れませんが、どこかで災害が起こるたびに、「大変だね」「かわいそうに」と考えるのです。
それこそ、他人事として見ているからこそ出る言葉ではないでしょうか。

このことは自然のことだけではなく、「私」についても同じことが言えます。
「まだ若い」「こんなに元気」
この言葉は「生きていることがあたりまえ」と考えている言葉であります。
しかし、このいのちは「死んでいくことがあたりまえ」なのです。

「あけましておめでとうございます。」

新年を迎えるにあたってあたりまえに出てくるこの台詞は、あけるかどうかも分からない、あけることが保障されていない、そのような不確定な要素がある中で、しっかりと新年を迎えることができましたと慶ばせていただく言葉なのです。

もっと言えば、新年を迎えることだけではなく、明日を迎えることさえ「おめでとう」と慶ばせていただくべきことなのです。
毎日、毎時、「おめでとう」と慶ばせていただける日々を、お念仏とともにお過ごしいただきたいと念じております。

本年もよろしくお願い申し上げます。


令和7年1月