浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

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No.631

新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの生活を一変させました。

以前からマイクロソフト社のビル・ゲイズ氏は、現代社会では人類にとって核よりも感染症が一番恐ろしい問題といわれ、ワクチン開発に巨額の資金を投じてきました。他にも現は世界各国でワクチン開発が進められており、有用性と安全性の確認が行われていますが、まだ時間がかかりそうです。

現代は人間の行動範囲が地球規模に広がったことや、都市部の人口密度の増加、感染していても無症状の方がいることなどによって世界中に感染が広まってしまいました。そして政府の自粛要請によって中小企業や個人事業主、飲食業、イベント業などの倒産が相次ぎ、多くの方がコロナで死ぬか経済で死ぬかという状況に陥っています。私たちは今こそ人類が一つになり、この危機を乗り越えていかなくてはなりません。

これまでにも人類は、幾度となく感染症に脅かされてきました。十四世紀には世界の人口の約五分の一の命を奪ったとされるペストや、天然痘、コレラ、スペイン風邪などで多くの方がいのちを落とされたといいます。現代は医療が進んだとはいえ、新たなウイルスにはどうすることもできないということが露呈されました。しかしその中でも今なお懸命に患者さんのために命がけで対応してくださっておられる医療従事者の方々には本当に感謝しかありません。

私自身これまでの日常を当たり前のように過ごしていましたが、平穏無事に過ごすことがどれだけ有難いことだったかということを改めて思い知らされました。そして、自分自身の死をこれだけ身近に考えたことはありませんでした。

現時点では幸い、日本の感染者数、死亡者数は世界から見れば非常に少ないのですが、まだまだ油断は禁物で、おそらくまた秋から冬にかけて新型コロナウイルスが流行するのではないかと多くの専門家の方が言われています。今後、私たちはこのウイルスとどう共存していくかをしっかりと考え、今までの固定観念というものに縛られず、新たな生活様式を実践しながら人と人との絆を大切にしていきたいものです。

今後は、毎月のお参りやご法事、お葬式なども感染リスクを減らすような形で行うことになっていくとは思いますが、仏法のご縁を大切にしていただけるようにお寺といたしましても今後検討してまいります。

最近のテレビでよく見ますが、コメンテーターやゲストの人たちが家に居ながら画面の中で出演をされているのをよく見ます。私事ではありますが、私も4月に石川県の妻の祖母が往生し、新型コロナウイルスのために行くことができなかったのですが、ラインの「ビデオ通話」を用いてオンラインでのお通夜、お葬式にお参りさせていただくことができました。実際やってみてまったく違和感がありませんでしたし、これからはもっとお寺でもインターネットを活用すれば、若い方にも仏法のご縁が広まるのではないかなあと思いました。年配の方からすればそんなのどうすればいいのかわからないよと思うかもしれませんが、若い方の助けがあれば簡単に使える環境を整えることができますし、さらに仏法のご縁が子や孫に伝わっていくのではないかと思います。

お盆の納骨堂でのお参りも一部インターネットで行えればいいのかなとも思いますが、みなさんはどうお考えでしょうか。

そう思うと、今回の新型コロナウイルスのことは時代が変化するときなのかもしれません。

ただなんでもかんでも変えていいというのではなく、人を思いやる気持ちやいのちの大切さを伝える手段はいろいろあってもいいのではないかと思うのです。

今後も不安な状況が続くとは思いますが、今いのちに恵まれ生かされていることに感謝させていただき、私たちひとりひとりができることを精一杯させていただきましょう。

令和二年 六月