浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

ちょっといい話

法話

慶賀光春

No.663

あけましておめでとうございます。

皆さまにおかれましては、
お念仏と共に新年をお迎えのこととお慶び申しあげます。

昨年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。
何が目的で、何が欲しくて、誰のための侵攻なのか…。
考えれば考えるほどよく分からないですし、理解もできません。

いま、こうしている間にも
どれだけのいのちが犠牲になっているか分かりません。
この侵攻が始まってすでに10万人以上の方が亡くなったという情報もあります。
一括りに10万人と言っても、
その一人ひとりにいのち、家族、生活があったのです。
それを奪うことは誰であっても、
どんな理由があろうとも許されることではありません。

人は誰かと比べて、こっちが正しくて、
あっちが間違っていると言いながら生活しています。
「正義」と「悪」、そのほとんどが自分が正義で、相手が悪ですよね。
「悪」を討つことこそが「正義」となるのです。

では、その「正義」や「悪」は誰が決めましたか?

私たちは自分中心のものの見方しかできません。
自分の都合の良いように、自分が得するように、
自分の好きなチームが勝つように…。
逆に言えば、自分にとって都合が悪くならないように、
自分が損しないように、自分の嫌いなチームが負けるように…。

「私」という存在がある限り、自分中心の考え方からは離れられません。
私が「正義」を持ち合わせる限り、私が「悪」を生み、争いが起こるのです。
だからこそ、「私」ではなく、
「仏さま」を頼りとさせていただく、
ものの見方をさせていただくことが大切なのです。

相田みつをさんがこのような詩を詠んでおられます
『そんか とくか 人間のものさし うそか まことか 仏さまのものさし』

仏さまのものさしは「うそか まことか」です。
どれだけ世のため、人のためと行動しても、
どこかで自分の利益を優先し、どこかで褒められたい、認められたいと願い、
自分の存在意味を求めてしまうのが「私」です。
そんな「私」だからこそ、仏さまは、
「うそか まことか」のものさしを用いて、この私の姿を示してくださるのです。

ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、
世界各地で起こる争いがいつまで続くのか…。
「正義」と「悪」でものを見ている以上、
真の解決には至らないのかも知れません。

仏さまのものさしを頼りとさせていただき、
自分の姿を顧みながら、
より良い社会を目指して生活させていただきたいものです。

コロナが流行し始めて3年になりますね…。
早いのか遅いのか、時間の感じ方もよく分からなくなってきましたが、
皆さまくれぐれもお身体ご自愛いただき、
またお会いさせていただけることを楽しみにしております。

本年もよろしくお願い申し上げます。


令和5年1月