浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

ちょっといい話

法話

2020

雑色雑光

No.617

新年度を迎え、新たな生活を始めた方も大勢いらっしゃることと思います。新生活が充実したものとなることを心より願っています。新たな環境に馴染んでいくのはなかなか大変なものです。私がかかわっている学校でも新入生を迎え、しばらくは落ち着かない日々が続きます。

いま学校で関心がもたれている問題の一つに様々な障がいを持った児童生徒の学習環境をどのように整えるかという問題が挙げられます。障害にも身体的なものなど様々な現れ方がありますが、教育の現場で今議論されているのは発達障がいといわれるものです。発達障がいのほとんどは原因が不明です。自閉スペクトラム症、注意欠如、多動症、学習障がいに分けられ、それぞれ多くの議論が行われていますが、その特徴は、自閉症スペクトラム症はコミュニケーションが苦手で、応用・融通が利かず、関心が特定の事柄に偏ることです。注意欠如は対象に対する注意力が散漫であり、多動症は落ち着きのなさ衝動的な行動があげられます。この二つはそれぞれが主になる場合と、両者が合わさる場合があります。学習障がいは知的な発達に遅れは見られないけれど、読む・聞く・話す・書く・計算するなどの能力を獲得したり、用いたりすることが難しい状態として現れます。今ではいろいろな研究などが進み、「発達障がい」として多くの関心や対策が講じられてきていますが、最近まではそのような児童生徒は単に「問題のある子」ととらえられていました。思えば私の小中学校時代のクラスでも何度同じ注意をされても全然治らないとか、授業中に動き回るようなことはあったように思います。その時は「困った子だな」としか思えなかったことですが、発達障がいとして議論されるようになった今、どのようにしたらともに社会生活を送っていけるかを考えることが重要になってきました。

札幌市より平成25年・26年に発達障がいのある人たちへの支援ポイントをイラスト入りでまとめたリーフレットが出されました。このリーフレットのすばらしさは単に社会生活のサポートをするだけではなく、豊かな能力を社会活力として活用することに重点を置いていることです。

私たちの社会は多種多様な人々で成り立っています。健康に全く問題のない人、身体的や精神的にハンディキャップのある人など。それぞれの人がそれぞれの立場で最大の力を発揮できる社会は多くの人にとっても大変魅力的なものになるのではないでしょうか。自分と異なる個性を持つ人を拒絶しないで、理解し、寄り添い、助け合える人間関係がもとめられているのです。

童謡詩人の金子みすゞさんの代表作『わたしと小鳥とすずと』は「みんなちがって、みんないい」と結ばれています。みんな違うけれどそれぞれに良さがあり、その違いに優劣はないのにその違いにこだわることでお互いが暮らしにくいという状況を作っているのかもしれません。

皆さんのお家での毎月のお参りの時にお勤めさせていただく『仏説阿弥陀経』の中に「青色青光・黄色黄光・赤色赤光・白色白光」とありますが、原典には「雑色雑光」も共に述べられています。青・黄・赤・白それぞれの個性も大切にしながらさまざまなものが混ざり合い、異なる思いや環境にある人々がそのままで自分の能力を最大限に発揮できることの大切さを説いているのだと思います。

新年度を迎えるにあたり新たな生活の始まるこの時、より多くの皆さんとそんな社会を目指していく努力を重ねることができたらと願っています。