浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

ちょっといい話

法話

智光照春

No.675

あけましておめでとうございます。
皆さまにおかれましては、お念仏と共に新年をお迎えのこととお慶び申しあげます。

昨年は気候変動による記録的な猛暑や大雨などが続き、皆さまも大変な思いをされた事と思います。災害や災難に遭われた方々、またそのご家族や関係者の方々には心よりお見舞い申しあげます。

お釈迦さまは私たちの人生は「一切皆苦」と仰いました。「人生は思い通りにはならない」ということです。
季候や天気もそうですが、私たちの生活は思い通りにならないことばかりです。
夏は暑いと愚痴が出て、冬は寒いと愚痴が出ます。しかし、人や仕事によっては逆になることもあるでしょう。自分中心に物事を見ていくと、必ず不平不満が出てきます。

仏教は「転換の教え」とも言われます。
例えば、この時期、大雪が降ると「もう嫌だ…」と思いますよね。
 ・雪が降る→除雪する→疲れる→他のことが手につかない
おそらく、このような思考になってしまうから、「もう嫌だ…」となるのでしょう。
その思考を転換してみてはどうでしょうか。
 ・雪が降る→除雪が運動不足解消になる→気持ち良い疲れ→健康につながる
「雪のせいで疲れてしまう」のではなく、「雪のおかげで健康でいられる」と転換するのです。これだけで少しは気持ちも楽になるかも知れません。

とは言え、そう簡単に切り換えられるものではありませんよね。
年齢も異なれば、得手不得手も異なる。やりたくても出来ないこともあります。それならば、誰かを頼っても良いのではないでしょうか。

現代は「迷惑をかける」ことが「悪いこと」のように考えられていますが、これも、「迷惑をかけずには生きられない」と転換して考えてみるのです。
「迷惑をかけない」ことは大切かも知れませんが、すべてにおいて迷惑をかけずに生きていくことなどできません。
誰かを頼り、必要とし、おまかせすることは決して悪いことではありません。
「一人では生きていけない私」に気づかせていただくことが本当に大切なことであり、そこにこそ感謝の気持ちが芽生えるのです。

何が起こるかわからない、何があってもおかしくないこの世の中で、思い通りにならない苦しみや悲しみを、私をお育てくださる尊いご縁といただく。
愚痴や不平不満ばかりの私の口から、「ありがとうございます」と感謝のことばが出ることを喜ばせていただきましょう。

本年もよろしくお願いいたします。

令和6年1月