浄土真宗本願寺派 興徳山乗善寺

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法話

仏教とは

No.593

四月を迎えて長い北国の冬も終わりに近づき、わずかながらも春の日差しが感じられるようになってきました。四月というと新しい生活が始まる方も多いと思います。新たな環境で新たな人との出会いが増える時期でもあります。そんな時、自分を知ってもらう事は大変大切なことだと思います。自分について何を伝えたいのか。自分自身を形作っている様々な要素の中で宗教について紹介することも大切なことだと思うのです。しかし、残念なことに今の日本ではさまざまな事情があって、初対面の間柄で宗教について語ることが難しくなっています。また、日常生活で宗教を意識することもあまり多くはありません。けれども年中行事や人生の節目をむかえた時などには意識することもあるでしょう。

海外旅行などで相手国に着く少し前に、出入国カードを記入することがあります。自己紹介カードみたいなものですが、なかには「宗教」を記入する項目を設けている国もあります。このような時、大半の日本人は「仏教」と記入するそうです。空港について入国審査カウンターに向かってパスポートと共にこのカードを提出するのですが、稀にここで「仏教」とはどのような教えかと問われることがあると聞きました。皆さんは何と答えますか?

仏教とは「仏の教え」です。つまりお釈迦さまが説かれた教えです。お釈迦さまは一瞬たりとも変わらずにそのままとどまることのできるものはない。また本来、独立した私というものも存在しない。このような「無常」、「無我」に気づくことができれば充実した人生を送り、穏やかな生涯を全うできると説かれました。そのため、「仏教」は人生を歩むために八つの正しい生活態度、つまり、①正しく物事を理解する、②正しくものを思う、③正しく言葉を使う、④正しい行いをする、⑤正しい生活を送る、⑥正しい努力をする、⑦正しい思いを心に保つ、⑧正しく精神を統一する、という八つの道を説いています。

当たり前のことのように思われますが、これらのことが本当に困難なのは「正しく」ということです。これは私の計らいを離れてという意味です。こうした正しい行いの実践によって私たちは苦悩の人生からは解放されるでしょう。